行くぞポチ

Pochi dog in Tainan.
Photo: “Pochi dog in Tainan.” 2015. Taipei, Taiwan, Richo GR.

「おう、行くぞ、ポチ」

台南にもポチは存在する。海外で柴犬を見ると、なんか頑張ってるなぁという感じがしてしまう。


そういえば、ふらっと入った鹿児島の市立美術館に渋谷のハチ公の原型の展示があって驚いた。初代ハチ公像は戦中の金属供出で溶かされてしまい、今のはオリジナルの作者である安藤照の息子 安藤士の手による、二代目なのだそうだ。

安藤士の代表的な作品っていうのは、東京タワーの下にある南極の犬がいっぱい居るアレ。犬に縁がある人なのか。かのメジャー待ち合わせスポットにはそんな歴史があって、なぜかその原型が鹿児島に置かれている。


そして、ここまで書いておいてなんだが、ハチ公は柴犬ではないんだそうだ。ハチ公は秋田犬、知らなかった。どこが違うのか、よく分からないのだが、大型犬が秋田犬で小型犬が柴犬であると。考えてみたことも無かったが、大きさ以外は見た目はそっくりじゃないのか。

そうしてみると、台南のポチ、うーん、君はやっぱり柴犬だな。

積年の謎の正体、臭豆腐

Stinky tofu
Photo: “Stinky tofu” 2012. Taiwan, Apple iPhone 4S.

僕は、その臭気を、頭の何処かで人間の死臭だと確信していた。

その甘い腐敗臭は、熱風のような温度を持っていた。その臭気が鼻に入ると、熱い温度を脳が感じた。

中国大陸の至る所で、かいだ臭い。北京の公衆トイレで、少し似た気配を感じた。

上海のとっちらかった屋台街でも、感じた。中国腸詰のような露店の辺りで嗅ぐことが多い気がして、暫くは腸詰を炙った臭いだと思っていた。でも、実際は腸詰はそんな匂いはしていなかった。

あれは、絶対、何かの死体だ。「甘くて不快な腐敗臭」人が腐った時の臭いの記述は、たいていこんな感じだ。ということは。。中国は、怖いところだ。そう思っていた。


台北。少し迷いながら辿り着いた、点心の有名店。時間のかかる小籠包のつなぎに、ちょっと気になっていた名物も一皿取ることにした。安かったし。

そして、唐突に現れたのだ、そいつは、まさに、その臭いをさせて皿の中に収まっていた。臭いは、臭気というよりも、やはり熱気として感じられた。

台湾名物、臭豆腐。

名前は知っていた。20年近く前に台北に来た時から、名前は知っていた。臭いものだと言う事も知っていた。公衆トイレの臭いに近いとも書いてあった。だから自分から近寄ることはなかった。しかし、まさか、こいつがアレの正体だったのか。


今まで、自分の意志に反して、何かを食べられなかったことは無い。たいていの、まずい、変なものも食べてきた。でも、これは無理だ。不快を承知の表現で言うならば、目の前の丼に、ウンコが盛ってあるぐらいに無理だ。暫く逡巡した。しかし。

臭豆腐、箸の先についた一片を食べることもできなかった。

琉球

Photo: 1995. Okinawa, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film
Photo: 1995. Okinawa, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film
台湾の中正駐機場。僕らが乗るEG292の行先表示は「琉球」だった。

こういうのって、どうなんだろう?何かの意図があって、「琉球」と書いているのか。あるいは、これがごく普通の呼び方なのだろうか。


アジアの歴史(それは太平洋戦争よりもっと前からの話)は、とても複雑で、こんなふうにしれっと書かれている「琉球」という呼び方にも、もしかしたら、誰かの思いがあるのかもしれないと思った。(何もないのかもしれないが)