雑煮は家で食べない

Photo: “Zouni.”
Photo: “Silent killer in Zouni.” 2017. Tokyo, Japan, Apple iPhone 6S.

その立ち飲み屋には、よく飲みに行くのだけれど、なるべく人を連れて行かないようにしている。一軒ぐらい、黙って飲む店があっても良いと思うからだ。店の大将と話すことも、あまりない。積極的に声をかける常連も見かけるけれど、僕は別にしゃべりに来ているわけでは無いので、魚の種類が分からないときぐらいしか、こちらから声はかけない。

だから、「明けましておめでとうございます」と、いきなり店主に言われて面食らってしまった。今年も一年、よろしくお願いしたいなと思う。家で作る気がしない、焼き魚とかてんぷらとか、そういったものも、もちろん刺身も、僕はこの店に絶大な信頼を置いている。


正月の日本人を不幸のどん底にたたき込む、ソウル・フェイタル・フード餅。実家では、高齢者をあの世に誘う餅を含んだ雑煮は、既に廃止されて久しい。正月も、普通に味噌汁。

と言うことで、店のメニューに幾つか加わっている正月メニューの中から、雑煮を選ぶ。原価率をあまり考えていない、歯切れの良い本物のかまぼこ。そして、出汁に浸った伊達巻きの独特の味。具には鰤が入っていて、いかにも冬らしいね。

俺レシピ マカロニサラダ(下町味)

Photo: “Macaroni salad downtown style.”
Photo: “Macaroni salad downtown style.” 2018. Tokyo, Japan, Apple iPhone 6S.

マカロニサラダの事しか考えられなくなった。早速、作っていきましょう。

■材料

  • ママー早茹でマカロニ100g
  • キュウリ2本
  • マヨネーズ沢山
  • マスタード少々
  • オリーブオイル
  • 黒胡椒(粗挽き)
  • レモン汁(ポッカ可)→必須超重要
  • 塩少々

■作り方

  1. 塩を10gを入れて、パスタ茹で機で8分(なんて便利)調理
  2. お湯を切って、オリーブオイルで和えて冷ます
  3. キュウリ2本を切って塩もみしておく
  4. マカロニの粗熱が取れたらマヨネーズ、キュウリ、黒胡椒、マスタード、レモン汁を加えて和える
  5. ホッピーでも買ってきて下さい
  6. 食べる

最初作ってみたものの、なんか味が違うというか、サラダっぽくならない。僕がイメージするとある店(写真)のサラダとはかけ離れている。結局、レモン汁を入れると、その酸味で一気に全体がサラダとしての体裁を帯びる。マスタードを入れておくと、一晩経った後ぐらいに食べると、全体に調子の高い香りが加わる。

このレシピは都心のレシピではない、今風のレシピでも無い。下町の、ちょっとくたびれた外見の居酒屋の味だ。つまり、相当しょっぱい仕上がりになるので注意。

適宜ツナや、ハムなどを入れれば、またバリエーションになる(贅沢になる)だろう。

見せてもらおうか、食べログ1位の実力とやらを

Photo: “Sushi chef on Tabelog #1.”
Photo: “#1 Sushi chef on Tabelog.” 2018. Hokkaido, Japan, Apple iPhone 6S.

と言うことで、2時間あまり電話をかけ続けて予約してもらった、北海道 食べログ第1位の鮨屋に、万札を握りしめて訪れた。席数は僅かに7席。おきまりが1種類のみ。飲み物はアラカルトと、メニューに合わせてお酒を出してもらえる方式が有る。一緒に行ったのが、飲む人間なのでお酒は店にお任せして出してもらう方式にした。絶対その方が安くなる確信。

我々以外は、年輩の夫婦、同伴ぽい紳士とお姉ちゃん、そして今回初一人旅なんですよと意味の分からないアピールをするITベンチャー社長(こういう人は訊きもしないのに、素性を明かす)


感想。とても、とても感心した。どの品も考え抜かれている、なんとなく出されるものが一品として無い。魚は二部制の提供時間に合わせて仕込まれ、食べる瞬間に最も良いコンディションになるように仕上がっている。高いネタを出して凄いでしょう、では無い。例えば、抱いた卵が半熟になるように火を通し、これをソースとして食べさせる蝦蛄。その処理は、卵を身につけたままで、背に一筋入れた包丁目から、トロッとした橙色の卵が覗く。鮨に限らず、卵をそんな風に扱った料理を、僕は一度として食べたことが無い。既存の調理法に縛られない、ゼロから考える料理の凄み。鮮度が落ちた蝦蛄では作れないから仕入れは時間単位での勝負だと言っていた。

店主は鮨屋の大将、という雰囲気では無い。洗練された風貌もあるが、所作から語り口から、よく考えてる、よく出来る、という感じが凄く伝わってくる。提供している各々の品物について、質問すれば幾らでもロジックをもって返してくる、それ程に考え抜いて、試している。かといって、気難しくも無く、客あしらいは巧い。ともすれば、無粋なマウンティングに走ってしまう一見の客も上手くいなして、まさに飲食店の鏡。


もう一つ。板場には、年輩の職人がアシスタントとして付いている。丁寧に下ごしらえのサポートをして、店主の仕事を実によく助けている。これだけの才能のある若者につくのは、どんな心境なのか。なんて、と思っていたら、実は先代に当たる店主のお父さんだそう。父親の代の時は、普通の街場の鮨屋だった店を、ここまでの有名店にした息子の才能と努力。親子との呼吸の合い方。父親の店の譲り方の鮮やかさに、また別の意味で感嘆した。

※料理に合わせる方を選ぶと、お酒はなんと一貫ごとに違うものを出してくれる。値段は時価になるが、内容を考えると納得がいく。