GR DIGITAL III を持って

Photo: autumn bank 2009. Tokyo, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.
Photo: "autumn bank" 2009. Tokyo, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

いつもの飲み屋で、隣同士になったカメラな人と GR DIGITAL III いいよね、という話をして盛り上がる。最初は行儀良く、結構いろいろ改良されましたよね、という話をしている。そのうち、これはもう買うか!という気勢に なり、一週間後、テーブルの上に箱を並べて、「さて、いざ開けましょうか」ということになる。

かと思えば、寝ぼけながら携帯でアマゾンのレビューを見ていたら、One Click が発動して、翌日 GRD III が家に届いてしまった、という嬉しいような悲しいような人も居る。


そういうわけで、急激に GRD III 人口は増え、手に手になにかを撮っている。

僕の初代 GRD は、ただいまヨーロッパ方面に出張中で、比較ができないのだが、やっぱりちょっと大きく(高さにして、2mm 以内なのだが、人の手はそういうのは分かってしまう)なっている。でも、同じシリーズのデジカメとは思えないほど、撮りやすく、機敏に生まれ変わった。


朝起きたときから、今日はどこかへ行こう、と思うぐらいに気分が良い天気は、とても久しぶりで、目的地無く家からひたすら南へ南へと歩いた。(北へ北へと、西へ西へと、東へ東へは、やったことがある)

手には GRD III だけ。

川沿いに商店街を抜け、オフィスビルを抜け、タワーマンションの工事現場を抜ける。南に何があるのかは、google map を見れば分かる。でも、それはやっぱり見たことにはならない。下町が次第に、港湾都市に変わり、生臭い潮だまりの匂いと、トラックのディーゼル臭が鼻を突く。下町の気っ風と、港の気っ風は、やっぱり何か違うし、通りを過ぎていく度に、徐々に空気が入れ替わっていく。

そして、そういう文化のグラデーションを断ち切って、巨大なタワーマンションが楔を打ち込むように、建っている。ここ数年で急に増えた、大規模分譲のタワーマンション。脆弱な埋め立て地の上に、何の脈絡もなく巨大な街が出来上がっている。この気味の悪い景色もやがて、東京の風景となる日が来るのか。 マンションが出来上がる前に潰れてしまったのだろう、タワーから道を隔てて古びたカレー屋が、シャッターを閉じて埃の中に埋もれていた。


周囲は、海産物の倉庫街に変わった。路肩に停車中のトラックのバックミラーに、オレンジ色のツナギが、洗って干されている。南へ南へ歩いて、人工の大地は、荷揚げ用の小さな港で突然に終わっていた。東京湾は、複雑に入り組んでずっと先に続いている。

「関係者以外立ち入り禁止」の標識の手前まで行って、ゴミゴミした港を撮った。どこにフレームしたらいいのか、戸惑うぐらいにとりとめのない景色だった。僕は満足して、行き当たったスーパーで、グレープフルーツジュースと、豆腐を買って帰った。

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