マジシャンの手元

4月1日の今日の一言。

Micronsoftなんて会社は無い。Bil1 Gatesなんて金持ちはいない。「羊ページ」は「牛ページ」だったし、「4月の一言」は「4月の小話」になっていた。それでも、アクセスした人の大半が、一瞬驚き、中にはある種の誤解をした人もいた。

今回の件でよく分かったのは、人は自分が見たいと思ったことを見、信じたいと思ったことを信じる、ということ。


僕が気に入っているマジシャンで、ナポレオンズという2人組みがいる。しょぼいトークと(実はちゃんとマジックの伏線になっている)、しょぼいマジック(実は凄い)の組み合わせが、とても面白い。彼らがこの間テレビで、ある初歩的なマジックの種明かしをしていた。

マジックは1枚の紙と、ガラスのコップ1つを使ったもの。コップを紙で見えなくなるように包み、掛け声とともにそれを消してしまうのだ。「ハイッ」という合図で、紙をぐっとまるめると、中に包まれているはずのコップは跡形もない。

種は簡単だ。まず、観客の前で紙でコップを包むのを見せる。(ただし、コップの底にあたる部分は、包まないで残す)
「さて、このコップを紙で包みます!」

次に、なにか適当な話しをしながら、マジシャンが一瞬コップを手元に引き寄せる。コップはテーブルの上から、膝に落ち、足の間に隠されてしまう。

コップが落ちたら、マジシャンは
「では、この紙に包まれたコップを消してみましょう」

と言う。

その瞬間、マジシャンの手元には確かにコップを包んだ紙はあるが、実は中身は既にない。コップの形をした紙が、握られてるだけだ。そこにコップがあると信じている観客は、マジシャンがコップをどこかに隠す瞬間を見逃すまいと、目を皿のようにして見つめている。

皮肉なことに、観客がそうやって目を凝らせば凝らすほど、このマジックは成功なのだ。あの手の中にはコップが「あって」、マジシャンがどうにかして 自分達の目を欺こうとしている。そう考える観客の心理が、その手の中に「消えるコップ」を作り出すのである。「では、この紙に包まれたコップを消してみま しょう」という一言が、まさにこのマジックのトリック。紙に包まれたコップは、存在しないのだ。

このマジックが示しているのも、人は自分が見たいと思ったことを見、信じたいと思ったことを信じる、ということだと思う。それは、悪いことではない。思い込みが何かを生むことはある。しかし、自分の目が時には曇ることもあるのだ、ということは知っておいた方がいい。

最後に、一瞬、あるいはかなりの間、心配してくれた皆さん、ありがとう。

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