ウラジオストク駅でプラモデルを買う

"Vladivostok station. Station's clock indicates Moscow standard time."
Photo: “Vladivostok station. Station’s clock indicates Moscow standard time.” 2017. Vladivostok, Russia, Fujifilm X-Pro2, Fujifilm M Mount Adaptor + Carl Zeiss Biogon T*2,8/28 ZM, ACROS+Ye filter

ウラジオストクの街を歩いていると、結局最後は駅にたどり着く。ヨーロッパの古い街だから、そういう作りになっているのか。

駅はそのまま港にも繋がり、中にちょっとしたショッピングモールも有る。マトリョーシカ屋とか、カメラ屋とか、旅行代理店とか、まあそういうのはどうでも良いのだが、なんとプラモデル屋があった。しかも品揃えはスケールモデルを中心にして、相当に充実。東京にあっても十分通用するだろう。もちろん、世界のタミヤもあった。


Photo: "Model shop."
Photo: “Model shop.” 2017. Vladivostok, Russia, Apple iPhone 6S.

ルーブル安のせいか、価格は安く感じる。なにか日本では手に入りづらいものを、と思って、原子力潜水艦にした。Modelist 1/700 ロシア タイフーン級原子力潜水艦が900円。ネットにもあんまり情報が見当たらず、メーカーの正体もいまいち不明だが、ebayで$20程で売られていたからきっとお買い得だったのだろう。もう1つ買えば良かった。


駅の入り口には警備員が常駐して、手荷物検査を受けて金属探知機を通る必要がある。なかなかの警備、と思ったが、実はそこらへんの道から歩道橋を経由して駅のプラットフォームに直接入ることができる。なんか、こういう”厳密な規則 + 緩さ”みたいなものが、いかにもロシアなのだとだんだん分かってきた。

駅の時計はよく分からない時間を指している。シベリア鉄道の時計は、全てモスクワ時間に合わせられている。そう、どこかで聞いた事が思い出された。

シベリア鉄道9400キロ

"Preaparing departure of Trans-Siberian Railway"
Photo: “Preaparing departure of Trans-Siberian Railway” 2017. Vladivostok, Russia, Fujifilm X-Pro2, Fujifilm M Mount Adaptor + Carl Zeiss Biogon T*2,8/28 ZM, ACROS+Ye filter

「シベリア鉄道9400キロ」という本を、僕は何度読み返したか分からない。その本は、恐らく僕が初めて読んだ紀行文であり、こうして自分が旅のことを書くきっかけになったのではないかと思う。というか、今、そう気がついた。


1982年の「ソ連邦」時代のシベリア鉄道の旅を描いたこの本、今は手元に無いが、酒が手に入らないやるせなさと、食堂車のメニューが軒並み「ニェット」であった事の印象ばかりがある。

そして、自分の目の前に(多分)シベリア鉄道である所の車両が停まっている。当時ウラジオストクは軍港都市として外国人の立入は許されて居らず、本にはもちろんウラジオストク駅の記述は無い。この駅はまさに、シベリア鉄道の終着駅であり、あるいは極東からモスクワに旅する人の出発点でもある。

列車の周りは、乗り降りする人も無く静かだ。地理的には極東アジアのこの一角から、遙かモスクワまでレールが続いている証が、この完璧なヨーロッパの風情をたたえた駅舎だろう。


10年前に書いたこの文章で言及しているシベリア鉄道のエピソードはまさしく、冒頭の本で得た知識。そして、そこに載せたフィルム写真を撮っている Zeiss のレンズを、今度はデジカメに載せ替えてロシアで撮っている。ちょっと目が覚めるぐらい、カチッとした絵になった。

山に向かって歩くペンギン

Photo: 太陽 2006. Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.
Photo: "太陽" 2006. Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

ディスカバリーチャンネルをボーッと見ている。


南極のペンギン。

ペンギンは宿営地と餌場の開氷面を往復して生活している。

しかしある日、一匹のペンギンが宿営地と開氷面の真ん中で立ち止まる。そして、仲間から離れてただ一匹、遙か内陸の山脈を目指して歩いて行く。


例え、彼をつかまえて、宿営地に連れ戻したとしても、また山に向かっていくのだという。

海のない内陸部は遙か 5,000km 続き、待っているのは死。彼らが山に向かう理由は、分かっていない。

ヨチヨチ歩いていくその鳥は、最期に何を見るのだろう。