京都のネコ

Photo: 2000, Kyoto(Toho-ji), Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film(Reversal)
Photo: 2000, Kyoto(Toho-ji), Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film(Reversal)

その日、京都はこの冬一番の冷え込みになった。

早朝、吐く息は白く、ピリッと冷えた体に、トロトロに炊かれた朝粥はなんとも美味だった。タクシーに乗り込むと、運転手は「これで、ようやく京都の 冬らしくなってきましたわ」と言った。そして「それでも、あとは氷が張らんと、ホントに京都の冬とは言えませんな」と続ける。

なるほど、寒さこそが、京都の冬。底冷えのする市街は、なんとも寒々しい。冬は、寒い。それが四季というもの。

お寺の本堂に、野良が丸まっている。カラカラと乾いた寒風が吹き抜け、庭師が松の木に正月の準備を施している。

年の瀬の風景。

神戸のネコ

Photo: 2000, Kobe, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film(Reversal)
Photo: 2000, Kobe, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film(Reversal)

お魚のいるところ、猫あり。ということで、ここ神戸にも、もちろん猫はいる。

神戸の茶碗夫婦の(このページの下の方を参照)新居1階は、コンビニになっている。そのあたりに出没するこいつは、野良にしてはあまりによい毛並 み。

友達の嫁が買ってきたさきイカは、お気にめさなかったよう。気高いこいつは、コンビニご飯なんて、食べないらしい。その割に、コンビニの前をうろう ろしているのは、どういうわけか。

写真を撮ろうとすると、プイと横を向いてしまう。そのくせ、誘うようによってくる。人気のある猫特有の余裕を感じさせるヤツだった。

「だからジッとしてろって!!撮れねぇだろっ!」

コロッセウムのネコ

Photo: 1995. Rome, Contax T2
Photo: 1995. Rome, Contax T2

イタリアはローマの中心街にあるコロッセウム。朽ち果てた古代の闘技場、イタリアではありきたりの観光地。

しかし、築数千年前の建物であるコロッセウムに、僕はある種の恐ろしさを感じた。原始の凶暴さというか、野蛮さ、のようなものが住み着いている気が したのだ。

すり鉢上の観客席からは、複雑に入り組んだ競技場の全景を見渡す。べったりと苔むした、かつての虐殺の空間には、なんともいえない禍々しさが漂うよ うに感じられ、勇んで写真を撮る気にはならなかった。

コロッセウムは、遺跡というより廃墟と言った方がよい。遺跡と言うには、生々しすぎる場所なのだ。壁面には、石組みを支える鉄骨を掘り出した穴が、 無数に空いている。掘り出した金属は、戦争に使ったのだという。かつて木製の天蓋がついていたと言われる内部に、今は晴れ渡ったローマの空が広がってい る。


そんなコロッセウムの柱の陰に、ローマの野良猫を見つけた。

妙に怖い目つき。

「じっとしてろよー」となだめながら、近づいた。が、威風堂々としたもので、逃げる気配は無く、結局は撮り終わった僕が早々に退散した格好だ。世界 の遺産を根城にしているだけのことはある。道化の仮面のような、切れ長の目。なんともかっこよく、なんとも怖い雰囲気。