マルゲリータはビール用な味付け

Photo: “Beer bar in Malaysia.”
Photo: “Beer bar in Malaysia.” 2014. Kuala Lumpur, Malaysia, Apple iPhone 5S.

何回も来ると、都市部でやる事なんて限られて来る。KLは若い、成長中の都市だから、どんどん東京とかに似て来るし、街の臭いもどんどんマイルドになってくる。

四年前に初めて目にして、びくびくしながら行ったイスラム寺院も、今はなんか見慣れてしまった。寺院の周りの通りを歩いてるのはビジネスマンか、観光客だけと言われると、納得してしまう。(地元の住民が行くところでは無いらしい)

とにかく観光的な見所の無い街で、いいレストランとか飲み屋なんかが、唯一の楽しみ。


東南アジアでビールと言えば、氷を入れて冷やしていたのも今は昔。マレーシアのビアバーの品揃えにはビックリする。この店でも、ビールはオンタップで8種類くらいあるし、ニュージーランドのIPAもある。缶とはいえ「水曜日の猫」さえ有ったのには驚いた。

つまみで取ったマルゲリータは、ちゃんとビール用な味付け。マッシュルームのフライも、(南国育ちなのか、茸のサイズが巨大だが)良い味。

「今夜は蟹に行きましょう!」

Chilli crab
Photo: “Chilli crab” 2016. Singapore, Apple iPhone 6S.

「今夜は蟹に行きましょう!」

という宣言に、誰も反対する者は居なかった。一生懸命頑張ったからね。

市街中心部から車で 15分、ゲイラン。所謂、シンガポールの公娼地域。食欲と性欲が隣り合ったような、猥雑な地域に蟹屋がある。

以前行った、サービス最低味最高の店の本店だったりするわけだが、サービスはまだこっちの方がマシだ。


蟹、やっぱり結構高い。後ろに立つ店員のババアのプレッシャーに耐えながら、慎重にメニュー構成を吟味する。絶対に外せないチリソースの蟹と、海老の胡椒炒めが軸になる。問題は、蟹も海老も、グラム単価だという点だ。(時価では無いだけマシだが)

中華系のババアの言うなりに注文すると、間違いなく大変な事になるのは目に見えており、まくし立てられる言葉をゆっくり受け流しながら、前菜、海老、蟹、焼飯とゆっくり決めていく。決して焦ってはいけないし、余計なものも頼まない。ン?カエル?んまいの?オススメ?

一種類ぐらいは挑戦で入れてみたカエルのフライ、実は衣の絶妙な味付けと、臭みの無い上品な白身で、とても良かった。


赤線のど真ん中の店にもかかわらず、客層は、旧正月の食事に来ている家族・親戚連れ、そして職場の同僚。つまり、ここは美味しいのだろう。

急に、爆竹の音が鳴り響き、席を一同が立って、箸で紅い色の料理をかき混ぜはじめる。旧正月のなにかの儀式のようだ。(あとで調べると 60年代に「つくられた」お祝い料理だそうだ)しかし、爆竹はスピーカーから流れるサウンドエフェクトだったりするところが、いかにもシンガポール。

例のババアになんの料理か聞くと、「魚生」と呼ばれる生魚を使ったサラダのようなものだと言う。早速売り込み攻勢をかけてきたが、値段を聞くと、なんかご祝儀相場で 8,000円ぐらいする感じ。蟹ぐらい高い。しかも、この暑さで生かよ!という怖さがあって頼まなかった。

さて、どろっとしたチリソースをまとってやって来た蟹は、立派な殻に覆われて、期待を裏切らない美味しさ。ババアの高いオススメを無視して頼んだ、一番安いシンプル焼飯に、ソースと身をたっぷりかけると、犯罪的な美味しさになった。