世界一高い電子辞書 SII SR-G10000

SEIKO IC DICTIONARY 電子辞書 SR-G10000 (英語上級/音声対応/高精細VGA液晶搭載)

セイコーインスツルメンツ SR-G10000。この電子辞書を見せると、たいていの人は感心する。質感も、検索速度も、辞書の内容も申し分ないからだ。しかし、これは高いんですよ、という前置きをしても、まさか定価 9万円とは思わないようだ。僕も、ヨドバシの売り場で何気なく触って、これはいいなと思い、後で web で値段を調べて、かなり引いた。やりすぎだ。

この電子辞書の最大の特徴は、価格である。いくらなんでも、たかが電子辞書で、9万円はないだろ。この手の製品を作るのは日本メーカしかありえないことを考えると、多分、世界で一番高い。9万円あれば、ノート PC が買える。まあ、そのとんでもない価格を無視すれば(そして、英語を使う人にとって、無視する価値はある)この電子辞書は、文句なく英語専用電子辞書としては最強だ。そして、最強なものは大好きなので、買ってみた。


さて、この製品は僕が買った電子辞書としては3台目にあたる。以前使っていた sony の電子辞書は、とにかく小さいものを探して買ったのだが、あまりにも検索速度が遅く、小さな画面もイライラするぐらい見にくいので、結局使い物にならなかった。で、この全く逆のコンセプトを持つ SR-G10000 を使ってみての結論は、多少でかくても、重くても、サクサク動いて、画面が見やすいというのが、自分にとっては最良と言うことだ。

では、個々の特徴を見ていこう。

まず、外見的な特徴がキーボード。SR-G10000 のキーボードは、電子辞書として群を抜く完成度であり、所謂モバイル製品のキーボードとして見ても、秀逸だと感じる。そのキータッチは、言い過ぎかも知れないが、ちょっとしたノートPC並み。配列は ASCII 配列に近く、ローマ字入力を基本操作にしているので平仮名の刻印が無くてデザイン的にもすっきりしている。このキーボードで、PDA をつくってくれたら文章書き用に買うかも知れないと思う。

画面はフル VGA(!)の反射型液晶。ノート PC ならまだしも、電子辞書にフル VGA を載せる勇気が凄い。価格は高くなるし、ボディも大きくなってしまう。しかし、結果として少ないスクロールで多くの文章が表示できるし、フォントも綺麗だ。また、解像度を生かした UI が搭載されており、操作全般がしやすくなっている。画面デザインの基本は、テキストベースの分割ウインドウ方式だが、画面の広さを生かした秀逸なデザインだ。細かい操作形態については後ほど述べることにする。

肝心の速度について言えば、相当速い。搭載する全ての辞書を前方一致でリアルタイムに横串検索できるのだが、その絞り込み速度の感覚は、ほぼリアルタイムであり、個々のコンテンツへのジャンプについても、ストレスを全く感じないのだ。

コンテンツは、英語だけに絞りきった 15辞書。ライセンス料が安そうな辞書を数だけ揃えるのとは真逆の方向性に好感が持てる。基本のジーニアスとリーダーズでだいたい事足りるが(まあ、そんなヤツにこの機種はいらない、と言われそうだが)英英辞典も充実している。ジーニアスには主要な単語の音声が収録されているが、本体がでかいだけあってスピーカーが内蔵されており、ヘッドフォン無しで発音が聞けるのも良い。(意外とスピーカーが無い機種というのがある)紙の辞典を使っていないので、今はどうなのか分からないが、電子版の容量を生かして、単語の語源・由来までかなりちゃんと出ているのも、良い。Britannica Concise Encyclopadia は読んでも面白いし、発音からスペルが出てこないときには、カタカナ英語辞典が意外と役に立ったりする。


操作形態として優秀だと思う点は、2つ。1つは入力モードの切り替えと、検索対象辞書の切り替えが一つになっていること。つまり、英和系の辞書検索画面ではアルファベット直接入力に、和英系の辞書検索画面ではローマ字入力に、勝手に切り替わる。かな入力が切り捨てられているわけだが、これによって操作が一つ減り、キートップもすっきりした。(かつての僕のように)カナ入力の人にとっては困った話だが、利用頻度を考えると、この設計は良い。

二つ目は「戻る」という機能。これはかなり画期的。「戻る」と言う機能は、スペースキーの右隣に「戻る」キーが割り当てられており、ほとんどのコンテキストで、丁度ブラウザの戻るボタンのように、直前に表示した辞書のページに戻ることができる。つまり、何か単語を調べ、その説明の中に出てきた単語を更に調べ(ジャンプというボタンを使うと、検索結果の中のあらゆる単語から再検索ができる。電子辞書では普通の機能のようだが、PC の辞書ソフトではそういう機能は無い場合が多い)その結果から更に、という風にどんどん検索していっても、戻るボタンで幾らでも前に戻ることが出来るのだ。これはかなり快適。(逆にブラウザに戻るボタンが無かったら、どんなに不便か想像してみてください)

なお、僕が買う前に一つだけ懸念したのが、電源方式だ。家の電池は eneloop 化しているので、単4 が良いのだが、SR-G10000 はリチウムイオンバッテリの充電式のみ。これは旅先で困るんじゃないかな、と考えてしまった。実際には、バッテリの持ちはかなり良くて、使い方にもよるだろうけれど、半月とか一ヶ月とかはなんとなく使えてしまう。付属の AC アダプタは携帯電話用ぐらいの大きさなので、いざとなったら持って行くことは可能だと思う。

さて、この製品、定価は高いが発売されてから時間も経っており、店によっては半分ぐらいの値段で売られている。楽天でも何店かで扱いがあるし、意外なことに、現在は amazon が一番安い場合が多いようだ。(ミーレもこのパターンだった)

この電子辞書に切り替えて数カ月、明らかに辞書を引く機会が増えたと思う。動作が速いし、きちんとした訳語を出してくれる(辞書がまとも)ので、使う気が起きるのだ。辞書としての魅力というのは、使っていかないとなかなか分からないし、実際に自分がどの程度ここまでの辞書を使う機会があるのかは、実はあまり分からないのかも知れないが、モノとしての確かな魅力があるのも確かだ。ちなみに、筋金入りの(つまり リアルタイムに SE/30 に大金をつぎ込んでいたような) Mac ユーザの知人は SR-G10000 を少しいじって「これで、Mac OS が乗ってさえいたら最高なんだけど」と言っていた。

あなたの生き方の指針(way of life)は何ですか?への答え。

Photo: 菩提樹のようなもの 2008. Saitama, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.
Photo: "菩提樹のようなもの" 2008. Saitama, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

英語の先生にあなたの way of life は何ですか?というのを宿題にされた。

さて、何だろうと色々考えて、辞書をいろいろ引いて、語感的に一番近そうな middle-of-the-road (中庸)と答えた。僕のそういう答えは予想外だったらしく、目を丸くして頷かれた。


僕のような仕事をしている人間が、そんな風に言うのは珍しいのだろう。例えば、仕事に人生の価値観の大半を譲り渡すことに何の疑問も抱かない人間が 自分の周りにも結構居るし、むしろそれを誇らしく思っているように見える。中庸よりは極端、Extreme、前倒れ。もっとも、そうでなくては、なかなか 生き残ることが難しいのも事実だが。

それにしても、いかにも東洋っぽい概念に思えた「中庸」に対して、いくつもの英単語訳があるものだ。middle path / golden mean / middle course / middle of the road / middle way / moderation etc… (僕が見た幾つかの辞書では、中庸と中道がだいたい同じような扱いで翻訳がつくられているが、厳密にはその二つは違うらしい、中道は仏教用語)広辞苑を見 たら中庸の解説の所には、「アリストテレスの徳論の中心概念」だそうで、知らないことは沢山ある。

何かを成すためには、思いっきり偏らないとダメ、みたいな思い込みが蔓延っている気がするが、本当はそうでもないのだろう。少なくとも、人にはそれ ぞれあったやり方があるし、中庸を受け入れてそれでやるというのも、それはそれで勇気が必要だと思う。少なくとも、僕の場合、色んな事に対して目を開いて おくためには、心を真ん中に保っておくことが、やはり大切だと感じるのだ。

ディズニーリゾートには、何故カラスが居ないのか。

Photo: 浦安鴨 2006. Chiba, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak 400TX.
Photo: "浦安鴨" 2006. Chiba, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak 400TX.

せっかく万博に連れて行ってもらったのに、そういうイベントにどこか欺瞞を感じ、それを素直に夏休みの感想文に書くような子供が大人になると、浦安ディズニーリゾートで首をかしげながら空を眺めることになる。

ディズニーリゾートには、何故カラスが居ないのか。居ないよね?雀も居ないよね?


まあ、そういう事を真剣に追求すると、なんか、まずいことになりそうなので、その一件は忘れるとして、鴨は居る。それも凶暴な奴らが。

ディズニーシーの作り物の岩と、作り物の湖と、作り物の碧い湖水の上に、リアルなカルガモの一家が無理矢理暮らしている。彼らは、キャストではないから、差し出された子供の手を噛む。売店で買った浮き輪型の肉まんを奪い取ろうとする。

なかなか、良いじゃないか。